「むかし、むかし・・・」
昔々、それはおじいさんのまたおじいさんのまたおじいさんが生きていたころ・・・・・、射干ははるばる大陸から渡ってきました。ずい分と昔のことでしたから、今ではすっかりと日本古来の植物のように感じられますが、実は本当に山深いところには生えておりません。必ず人の気配がある場所にのみ生えています。もしそれが山奥でしたら、それはかってそこに人が住んでいた証しなのです。この近くでしたら、己高山を登っていくと、麓にあった射干は消え、六地蔵を過ぎ、馬止め、牛止めを通り抜け、すっかりの山中に入って行くと突然に登山道脇に射干があらわれ、周りの森の様子が変わって鶏足寺跡に辿り着きます。
よく見ると薄紫色に黄色を配置した花色は、本当ならば下卑た色合いになりがちなのに、絶妙なバランスでその美しさを誇っております。これは大陸的な色の調合なのかもしれません。
キンポウゲも満開になってきました。
遠くでツツドリがその心地よい低音を響かせております。